軽トラからスーパースポーツまで、車ならなんでも大好きな自動車ライターの元塚です。
ホンダからビートの生産中止以来、約20年ぶりに復活した軽自動車のスポーツカー、それがホンダS660です。
ミッドシップレイアウトによるスポーツカーらしいスタイルはまさにミニNSX！
しかしその一方でエンジンはターボチャージャーがついているとはいえ、軽の自主規制枠と同じ64psにとどまります。
これは20年以上前の車でしかもターボではなくNA（自然吸気）だったビートとカタログデータ上では同等…
購入された方の口コミでもエンジンに対してやや不満を述べる意見も多く、カスタムしたい！という方も結構いるようです。
今回はそんなS660のエンジンを中心にしたカスタム事情について解説していきます！
【S660、パワーアップは簡単？】
S660に搭載されているS07型エンジンはもともとNシリーズのために開発された低燃費、トルク型のエンジンです。
無理に高回転まで回さなくても必要なトルクを絞り出す設定になっていますが、逆に最高出力を抑えて低速トルク側にエンジンの特性を寄せているともいえます。
かつてのビートはオートバイのような超高回転型のエンジンでNAながら同じ64psを絞り出していました。
もちろん低回転域では原付にも抜かされそうになるほどのパワーのなさでしたが、５MTを駆使して高回転を保ってやることで
スポーツカーらしい走りが味わえました。
それを考えれば、S660ももう少し高回転よりにセッティングすればまだまだパワーアップが望めそうに感じられます。
ユーザーの口コミでも、高回転で回すとリミッターが効いてしまいちょっとフラストレーションがたまる、という意見もありました。
【ROMチューンで高回転化は難しい】
無理にエンジンのパワーを抑えているのであればそれを開放してやればいいので、手っ取り早いのはエンジンを制御しているコンピューターのプログラムを書き換えてやることです。
これをROMチューンといい、現代のカスタム手法としては非常に一般的な方法です。
しかし、S660は元々のエンジンが高回転化に対応していないことからROMチューンでも高回転型にするのではなく、むしろマフラー交換とのセットで常用域でのトルクアップを図ってドライバビリティを向上させるという方法がとられることが多いようです。
【S660のパワーアップはむずかしい】
一般的にはS660のようなターボ車の方がNAよりもパワーアップはやりやすい、といわれています。
NA車でパワーアップをするには排気量を上げるか回転数を上げるかという選択肢がありますが、いずれもエンジン本体に手を加える必要がありおおごとになってしまいます。
ターボの場合はエンジン本体はそのままでブースト圧（ターボの過給圧）を上げる方法がとれ、ターボ車のパワーアップでは定番の方法でした。
しかし、現代の車ではなかなかこれも困難になってきているようです。
最近の車はいずれも最適化設計を突き詰めた結果、昔の車のようにエンジンのキャパシティに余裕がなくなっているのです。
S660もその例にもれず、安易にブーストを上げてたくさんの圧縮した空気をエンジンに送り込んでもエンジンブロックの方が耐え切れない、ということにもなりかねません。
【まとめ】
私も「よろしくメカドッグ」で育った世代なのですが、自動車をとりまく環境も大幅に変わり、かつての常識は通じなくなってきているようです。
S660、パワーに不満を持つ方も多いようですが、なかなかパワーアップは一筋縄ではいかないというのが正直なところです。
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